2015年1月 2日(金)
2014年8月16日(土)ベルサール九段 イベントホールで開催したCSS Nite LP37 「選ばれるECサイト」のフォローアップとして、権 成俊さん(ゴンウェブコンサルティング) の『「選ばれる理由」、 本当にありますか?』セッションのスライドなどをシェアします。
戦略無くしてウェブサイト無し。
それが当たり前の時代はもう到来しています。
理想を諦めないでやりましょう。
「本当にこれで成果が出るでしょうか。」
その一言が言える勇気をもってください。
たくさんの感想とご意見、ご質問をありがとうございました。
頂いたご質問は本来はこちらからご説明すべき点で、他の参加者さんの理解を促すためにも大変的確なものでした。
ご質問いただいた皆様、ありがとうございました。
今回のお話は、当社で過去に全国行脚をした「構造設計セミナー」(3時間)の要約版です。
また機会があればフルバージョンも開催しますので、ご興味のある方はFBページか私のFBをチェックしてください。
また、他の事例にご興味がある方は、ぜひこちらをご一読ください。
以下、ご質問にお答えします。
-------------------------------
・キーワードからの市場シェアの算出の精度は高い?
・検索のSSL化でキーワードが取得できなくなっているが、いまならどうしている?
市場規模の算出は事業戦略においてとても重要です。
事業の成果を予測するときは、大まかに2段階で考えます。
STEP1 市場評価、選定
STEP2 市場の中でのポジション、競争環境の検討
STEP1が重要なのは、儲かるか儲からないかの大半は儲かる市場かどうかによる、という考え方です。
*このあたりの詳細はマイケルポーターの競争の戦略を読んでください。
市場規模の算出はSTEP1の中で行います。
この時に必要な分析の精度は、他の市場と比較して、良い環境かどうかが判断できるレベルです。
つまり、「自宅用の市場だと伸びても2倍だけど、ギフト用なら20倍が狙える」というレベルで良いのです。
新規事業の事業計画の際には、「この市場で年商100億円を狙いたい」というような話が良く出ます。
しかし、その市場でNo.1になっても売り上げの天井は10億円程度、ということが良くあります。
事業をスタートする前にそれが分かれば、無駄な事業投資をせずに済みます。
実際のところ、こういう判断が出来るデータというのはなかなかありません。
特にネットショップが取り組むような市場は小さすぎて、客観的なデータなど存在しないのです。
その時に、ある程度の売り上げ見込みのケタが分かるだけで大きな価値があるのです。
実際には他の方法でも市場規模の算出に取り組みます。
よくやるのは下記のような方法です。
このあたりと合わせて検討すると、精度が上がります。
キーワードが取得できない(not provided)という点については、取得できているデータからnot providedデータの中身を比例配分します。
たとえば、データが取得できているキーワードの割合がnot providedを含めた全体の10%の場合、実際の検索数はその10倍であると想定します。
取得できている”近江牛”の訪問者数が100セッションなら、実際は1000セッションだろう、ということです。
本当は検索エンジンごとに分けてシミュレーションしたほうが良いと思いますが、そこまでやっていません。
それでも、その程度の推測で十分に市場の判断の材料になっています。
もっとシビアな分析が必要になる場合もあると思いますが、結局は判断なので、現在の強みなど、他の材料も合わせて、あるデータで総合的に判断するしかありませんね。
-------------------------------
・今回のリニューアルで従来のユーザーが離れるリスクは検討したか?
・リスクを避けるために新規に別サイトを立ち上げなかったのはなぜ?
セミナーでは事業の方向付けの話をしましたが、決め戦略を実現することの方が難易度が高いです。
1)方向付け
2)資源の再配分
3)人を動かす
特に重要なのが2番の資源(人(時間)、モノ、金)の再配分です。
戦略に十分な資源を配分出来ないと、方向付けが正しくても成果が出ません。
新規事業を新たな柱として立ち上げるなら、現在の柱事業と同等の資源が必要になります。
そう考えると、別サイトにするということは、資源を分散させ、実現失敗のリスクを高めます。
その前提ですが、やはり別サイトにしたほうが良いだろう、ということもあります。
サイトのユーザーが現在のユーザーと全く異なる場合です。
しかし、今回はデータからも分かるように、すでにギフトの方の購入率が高かったので、現在のユーザーになじむ提案だと判断しました。
それでも、自宅用に近江牛を買う方がどう思われるかは不安だったので、そちらのシナリオも極力阻害したくないと思い、その点でもグローバルナビで自宅用とギフト用を分けた次第です。
-------------------------------
もともと安全安心なお肉という点で、ギフト市場は相性の良いものでした。
そのため、従来のブランディングと齟齬があるとは考えませんでした。
また、近江牛.comさんの旧サイトでは、お肉の安全、安心についてのこだわりの記載はありましたが、それを除けば競合他社とあまり変わらないものでした。
しかし、代表の新保さんは、安全安心なお肉を追求して農家さんと触れ合う中で、いわゆる霜降り和牛信仰に疑問を持っていたそうです。
霜降りというのは、言ってみれば牛を脂肪過多の病気にして売っているわけです。
牛や農家にとってそれは嬉しいことではありませんし、和牛の赤味の美味しさをもっと伝えたほうが良いのではないか、と思っていたそうです。
そのため、リニューアルに際して、霜降り押しを止め、赤身、熟成肉の良さを伝えていくとにしました。
それを支える信頼感のあるデザインというのはブランディングの一環として考えました。
ギフトパッケージ単体で見ると確かに真似されやすいのですが、安全安心を追求する姿勢や、赤身、熟成肉を訴求したいという考え方など、全体として一気通貫にしていくのは簡単にはまねできないと思っています。
このあたりは、初期に経営者インタビューというのがありまして、生まれから学生時代の経験、何を頑張ってきたか、そういった情報を元に、経営者のぶれない軸を見出すようにしています。
戦略もそれを踏まえて、「この経営者さんはこういう方向なら頑張り続けられる」という方向付けを考えています。
2019年、CSS Niteでは49回の関連イベントを通して123セッションが行われました。その中からベスト・セッション+αを選びました。