2017年3月 1日(水)
2016年10月22日(土)TKPガーデンシティPREMIUM神保町で開催したCSS Nite LP48「ライティング特集」のフォローアップとして、小田順子さん(ことのは本舗)の『その文章、キケンです!』セッションのスライドなどを公開します。
セッション2「その文章、キケンです!」を担当した小田順子です。
私は「文章のモノサシ」というお話をしました。対象は、「事実を正確に伝え、書き手が意図した行動を読み手に起こしてもらうための文章」です。しかし、鷹野さんの質問への回答でもお話したように、言葉はコミュニケーションツールです。不特定多数の相手に伝えるときと、特定の相手に伝えるときとでは、表現の使い分けが必要ですよね。
敬語については、さわりの部分だけをご紹介しました。補足説明として、敬語の解説動画「バカにされない敬語の使い方」をご覧ください。また、『その文章、キケンです!』(http://goo.gl/0Vnidj)をはじめ、私の書いた本にはすべて、敬語の解説がありますので、あわせてご覧いただければ幸いです。
以下、補足説明とご質問・ご意見への回答です。
たとえば「適宜」など、「宜」を「ギ」と音読みする使い方は常用漢字として認められています。しかし、「宜しく」を「よろしく」と訓読みする使い方は常用外です。つまり、漢字で書かず、ひらがなで書くほうがよいわけです。
このように、「ある読み方のときは使ってよいけれど、その読み方で使うのはNG」という「常用外音訓」というものもあります。これについては、ネット上にあるチェッカーは判断できないようです。
Wordなどの文章作成ソフトでは、ほとんどがチェック可能です。文章作成ソフトは、益子さんのセッションで紹介されていたサジェスト機能のような、校正機能もあります。文章作成には欠かせない便利な機能が満載。ぜひ、活用してください。そんなの、知らなかった! という方は、『その文章、キケンです!』(http://goo.gl/0Vnidj)の第4章「文章の組み立て方と校正方法」を読んでみてくださいね。
常用漢字表(平成22年内閣告示第2号) (文化庁のサイト)
http://kokugo.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/joho/kijun/naikaku/kanji/
士業の方も、お客様のためにサイトを作っていると思います。お客様に伝わることは大切ですよね。役所も当然、伝わるように努力することが責務です。
士業や役所のサイトを作っている方は、ぜひ、私の書いた以下の本を「これ、役に立ちますよ!」とお勧めするか、プレゼントしてあげてください。
確かに、状況や目的に合わせて使うべきだと思います。
たとえば「薔薇」と書くのか、「バラ」なのか。「薔薇」が読める人だけをターゲットとして、商品やサービスを売りたいときは、常用外漢字であっても使う必要があるでしょう。逆に、「薔薇」が読めない人にも正確に、効率的に理解してもらいたいときは、「バラ」と書いたほうがよいわけです。
ちなみに、報道機関や出版社などは、各社に独自の表記のルールがありますが、基本的には常用漢字を使うようルール化しています。
鋭いご指摘!
今回のセッションではお話しできませんでしたが、お客様とのコミュニケーションという意味では、ご指摘のような配慮が必要な場面もあります。
もし、急にサービスを終了することになったのであれば、「3月31日(土)です」の後に、「これは、○○のためです」と理由を書きます。さらにおわびの言葉を添えたほうが良いですね。理由やおわびを書くと文章が長くなりますが、不特定多数に向けた文章の場合、やはり1文を短くするよう心がけると伝わりやすくなります。
お知らせというよりおわびをすべきケースは、『その文章、キケンです!』(http://goo.gl/0Vnidj)の第2章「クレーム・不祥事への対応」でご紹介しています。ご興味があればご覧ください。
ちなみに、「詫び」は常用外の漢字です。
「相手にやわらかく伝える」というのは、「あなたは漢字を使いすぎですよ、ということを伝える」という理解でよろしいでしょうか。
そうであれば、なかなか難しいですね。相手との関係性次第ですが、たとえば私の話した内容を、以下のような方法で紹介するのはどうでしょうか。
つまり、私のせいにして、私に語らせるという方法です。この手を使っている方は、結構いらっしゃいますよ(笑)
確かに、「いただく」が2回以上続く場合、文章も長くなり、回りくどい印象になりますね。
一番多いのは、次のような「させていただく」ではないでしょうか。
このように、「させていただく」は、ほとんどの場合、削除してしまって問題ありません。
また、相手の動作が複数回続くときに、それぞれ「いただく」をつけると、次の例のようになりますね。
このように、「いただく」は最後の動作だけにつけると繰り返さずに済みます。あとは短く書き、「、」や「て、」でつなぐと、すべての動作が「していただく」に係(かか)ることが伝わります。
また、箇条書きにするという方法もあります。
ちなみに、「捺印」の「捺」は常用外漢字なので、「押印」と書き換えました。
以上、少しでもお役に立つことができればうれしく思います。
また、いつかどこかでお会いしましょう!
2019年、CSS Niteでは49回の関連イベントを通して123セッションが行われました。その中からベスト・セッション+αを選びました。