2019年11月13日(水)
2019年6月1日に大崎ブライトコアホールで開催したCSS Nite LP62「Webアクセシビリティの学校」特別授業のフォローアップとして、木達 一仁さん(ミツエーリンクス)の『【クロージング・トーク】インクルーシブネスを超えて』セッションのスライドなどを公開します。
クロージング・トーク「インクルーシブネスを超えて」を担当しました木達です。
CSS Niteでの登壇は今回が通算で5回目、昨年9月に開催されたLP58「Coder’s High 2018」以来だったのですが、終始、早口かつ声が上ずり気味で、聞き取りにくいところが多々あったと思います(アンケートでもご指摘をいただきました)。まずはその点をお詫びいたします、申し訳ありませんでした。
講演内容につきましては、他の登壇者の皆さんがお話しされた内容にほんの少しずつ触れながらも、締めのセッションとして私が特に強調したかったのは以下の2点です:
特に2点目については、「小さく産んで大きく育てる」という言葉を用いてお願いをしました。ともすると、いきなりWCAGやらJIS X 8341-3やら、小難しいガイドラインを読み始めがちなのですが、当日の配布資料にあった植木校長の「基本のキ」から小さく始めていただければと思いますし、澤田さんが解説された「ちゃんと画像の代替テキストをつける」、最初はそれだけでも十分かと思います。
ただし、一度始めた取り組みは、途中でやめたり縮小させないでいただきたいと思います。そうしていただくことで、確実にWebはよりアクセシブルなメディア/プラットフォームへ進化し続けるでしょうし、それが回り回って社会全体に、あるいは異なるニーズをもつ私たち一人一人にきっと良い影響をもたらすと、私は信じます。
アンケートにご記入いただいた感想はすべて、拝読させていただきました。「勇気づけられました」「心が軽くなりました」「小さく始めていこうと思います」「モチベーションが上がりました」「もっとやる気が出ました」など、大変ありがたい感想もあって、嬉しく思います。またいずれ、ご縁がありましたらCSS Niteの場でお目にかかりたいと思います。改めて参加された皆様、そして鷹野さん・植木さんはじめ運営側で尽力くださった皆様に、感謝申し上げます。ありがとうございました。
哲学的な問いをありがとうございます。深いですね……脊髄反射的には「幸福」という言葉が思い浮かんだのですけど、自分もその答えが知りたくて、さまざまな品質向上の旗振り役を担ってきた気がします。あくまで一意見として、ご納得いただければ幸いです。
本当(本気)ですか?ありがとうございます!!実は、私が着ていた「アクセシビリティ チョットワカル」とプリントされたTシャツは、SUZURIというサービスで作ったもので、同じものをどなたでもご購入いただけます。ちなみに何枚お買い求めいただいても、私に儲けなどは発生しませんので、ご安心ください。
逆に気になったのは、なぜ「アクセシビリティ」という呼び名がアクセシブルではないとお感じになったか、です。発話しにくいでしょうか、それとも意味が類推しにくいとお考えだからでしょうか。私自身は、もう何年もこの言葉と向かい合ってきたせいで麻痺してしまったのか、特にアクセシブルでないと感じたことはありません。そのいっぽうで、障害者対応や高齢者対応という色がついてしまっている印象から、別の言葉に置き換えられないか……などと考えたことはあります。
あらゆる製品やサービスの基本要件、基本品質としてアクセシビリティの認知が進めば、いずれ「アクセシビリティ」という言葉を使わなくてもよくなるかもしれません。
おっしゃる通りだと思いますし、自分が言葉足らずで失礼しました。年齢や性別関係なく、アクセシビリティ向上の旗振り役という意味合いで「アクセシビリティおじさん」という言葉を捉え直していただければ、ありがたく思います。言い直させていただけるなら、私が申し上げたかったのは、「1社に1人」くらいにまで旗振り役の数が増え、自分がその中に埋没してもむしろそれで本望、ということです。
異なる言葉である以上、辞書的かつ厳密には同じ意味ではないわけですけど、Webデザインという文脈において実務上は同じものと捉えていただいて支障はないと思います。ユニバーサルデザインとは何か、については障害者の権利に関する条約の「第二条 定義」に、以下のようにあります。
「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。
まさにその、「最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる」ようにするためのアプローチとして、より上流の工程から多様なユーザーを想定し、あるいは実際に多様なユーザーと一緒になって(巻き込んで)デザインに取り組む手法が、近年呼ばれているところの「インクルーシブデザイン」と自分は理解しています。
2019年、CSS Niteでは49回の関連イベントを通して123セッションが行われました。その中からベスト・セッション+αを選びました。