CSS Nite LP46「ビジュアル・ドリブンのデザイン」フォローアップ(7)矢野 りんさん『クロージングトーク:PVを稼ぐグラフィックの作り方』

2016年6月18日(土)ベルサール九段 イベントホール、7月16日(土)TKPガーデンシティPREMIUM神保町で開催したCSS Nite LP46「ビジュアル・ドリブンのデザイン」のフォローアップとして、矢野 りんさんの『クロージングトーク:PVを稼ぐグラフィックの作り方』のスライドなどを公開します。

メッセージ

セッション7、を担当した矢野です。フォローアップとして、このセッションの内容に決めた理由を説明します。

以前、私は発注側としてある制作組織にキャンペーンのLP制作を発注しました。私のオーダーは製品の機能に興味を持ってもらうために、モバイルユーザーに対して面白く製品説明をして欲しいということでした。依頼から数日後とても綺麗にメイン画像が作りこんである「ページのサンプル画像」を見せてもらいました。
ところが、わたしは画像の評価などをする以前に、開口一番「このページは、対ソーシャルシェアに関してどれほどの性能を発揮するのか?その対策は?」と、尋ねました。担当者は、私の質問の意味がわからないと言いました。

  • 良いコピー
  • 良いメイン画像
  • 理にかなったコンテンツ設計

この3つを整えることが制作の仕事です。それ以上のことを検討しろですって?と。
私はこれ以上のことが必要だと考えています。Webページを作るだけの仕事というものはモバイルの世界ではすでに必要とされていません。
メディア研究者のHenry Jenkinsが言ったように

If it doesn’t spread, it’s dead. (拡散されなければ死ぬ)

これがメディア融合時代の情報の運命です。拡散されるための要因は複数ありますが、ページそのもののスペックを整えることは前提としてとても重要です。Webページという「視覚(ビジュアル)」中心で知覚されるメディアの質を問題にしたければまずスペックを整えなければならないのです。
そのことを作る側が十分理解しなければ話は始まらない。
そう考えてこのセッションの内容を作りました。

テクノロジーが作った仕組みや方式に最適化して、その内容(コンテンツ)の良さを伝えましょう。
なんて言うとどうも味気ないように思いますが、デザインもテクノロジーもすべて単なる手段にすぎません。
重要なのは、本当に届けたい相手(ターゲット)が心から喜んでくれるであろうコンテンツを提供し、そして実際に喜んでもらうことです。
そのことを「ターゲットユーザーにマッチしたコンテンツでクリック率を上げ、結果的にコンバージョン率を上げる」などと言ったりしますが言いかたはこの際気にしない気にしない。1つの目標をチームが納得して目指せるような現場を作ることから始めれば良いのです。
そうすれば、今の自分自身が持つ専門性の価値がもっともっと高まるでしょう!

※ちなみに前述のお仕事のやりとり後日談。じゃあ自分でスペックを整えるから素材としてコピーと画像だけ渡して。と言ったら弊社側のマーケ担当者にクリエイティブに対する冒涜。失礼ですよ。とたしなめられました。そういう商習慣にも配慮してコミュニケーションするべきですね。反省しています。

2019年、CSS Niteでは49回の関連イベントを通して123セッションが行われました。その中からベスト・セッション+αを選びました。

2010年から2019年のベスト・セッション