2019年2月 6日(水)
2018年12月22日に都内で開催したCSS Nite Shift12「Webデザイン行く年来る年」として、田口 真行さん(デスクトップワークス)の『ウェブ制作会社が抱く、不安と希望 ~このままで良いのか問題~』セッションのスライドなどを公開します。
デスクトップワークスの田口です。
私は20年前にWebディレクターとして独立してからずっと、ウェブサイト制作をしてきました。しかし、時が経つごとにひとつの不安がよぎります。それは、いち制作会社として抱く「このままでいいのか」問題。
私たちはこの問題に向き合う中、フラストレーションがピークに達したタイミングで、ある決断をしました。それは、「クライアントの依頼にだけ依存した状態」から脱し、「自分たちならではの価値」をもっと追求しようとすること。もちろん、それはクライアントワークの否定ではありません。世の中に溢れる制作会社、世の中にたくさんいるクリエイターの中で、自分たちが提供できること、その価値をもっと追求しようという前進です。
そこで、私たちはまず、自社メディアを立ち上げました。それがライブ配信です。
どうせやるなら、とことんやろうと決め、社内の1室を撮影スタジオ化したマルチカメラを用いた表現で、様々なゲストの方にご協力をいただきながら、4年間で1,000本以上という超コンスタントなペースでライブ配信を実施してきました。
デスクトップワークスのライブ配信
https://webdirection.jp/live/
さらに、そこから次のステップ、制作会社として請負仕事以外の収入源の獲得、「自分たちならでは」のマネタイズを目指しました。
私たちのこれまでの仕事、サイト制作のプランニング手法とマネジメント手法をフレームワークとしてツール化した『Webディレクター手帳』。そして、その思考プロセスを一冊に込めた書籍『ディレクション思考』。これら自社プロダクトをゼロから開発し、製造、販売しました。売上の数字だけみたら、小さなものかもしれません。しかし、今まで世の中に存在しなかった「自分たちならではのマネタイズ」の仕組み、他の制作会社にはないその仕組みを手にしたことは、とても大きな一歩です。
Webディレクター手帳
https://webdirection.jp/tools/
書籍『ディレクション思考』
https://webdirection.jp/book/
当時、製造工程や梱包作業の様子、また手渡し配達イベントの様子をライブ配信で流したのですが、その中継を見たユーザーが、その瞬間に商品を買ってくれる!という現象を目の当たりにしました。一連の流れを「ストーリーとして」ユーザーに届けることの重要性、そしてライブ配信の可能性をさらに感じた瞬間です。
さらに、私自身のセミナー活動をライブ配信と掛け合わせた新しい学びのサービス、実践学習型オンラインサロン『4LDK』を立ち上げました。このオンラインサロンは、全国各地のディレクターやクリエイターが場所を問わずして参加できる「学びの場」です。知識やノウハウをインプットするだけじゃなく、自らのものとしてじっくり消化するアウトプット学習にも取り組める今までなかった学習サービス。ただ講義を視聴するだけじゃなく、率先して行動する積極的なスキルアップに取り組んでいます。
実践学習型オンラインサロン『4LDK』
https://webdirection.jp/4LDK/
来年はこの取り組みをさらに進化させて、私以外の、様々な分野の専門家たちを講師に迎えて展開する『現場学校』がスタートします。一過性のイベントごとになりやすいセミナーと、参加者それぞれの現場とをライブ配信を用いた「学びで繋ぐ」試みです。
ライブ配信セミナー『現場学校』
https://gbgk.jp
さて、今回はいち制作会社が抱える「このままでいいのか」問題を切り口にお話しをしました。マネタイズと言うと「お金儲け」のイメージが強いですが、私たちにとってマネタイズとは、自分たちの価値を見える化すること、そして市場に示すための具体的行動です。
今回のセッションが、参加者それぞれの自分らしいクリエイティブな価値の追求、不安をキッカケに見いだされる「新たなる希望」となれば嬉しいです。
ありがとうございました。
田口真行のFacebook
https://www.facebook.com/TaguchiMasayuki
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2019年、CSS Niteでは49回の関連イベントを通して123セッションが行われました。その中からベスト・セッション+αを選びました。