2020年2月 4日(火)
2019年12月21日に浅草橋ヒューリックホールで開催したCSS Nite Shift13「ウェブデザイン行く時代来る時代」のフォローアップとして、権 成俊さん(ゴンウェブコンサルティング)の『ウェブサイトをビジネスから考えるための競合分析』セッションのスライドなどを公開します。
DXには、デジタル、デザイン、ビジネスの3つの理解が必要だと言われています。ウェブ業界人の多くは、デジタルとデザインには強いので、あとはビジネスを学ぶだけ。
今回の大西製粉さんの事例でお伝えしたかったのは、もし分析をしていなかったらどうなっていたか、ということです。従来のサイトコンセプトの延長で、改善を繰り返したところで、限界は見えています。調査分析によって、まったく新しいアイデアが生まれ、全く新しいsobayu.jpの企画につながりました。
ウェブサイト制作に携わる皆さんのお仕事の中でも、実は同じような状況があると思います。もはや言われたとおりにウェブサイトを作るだけでは成果は出ません。成果の出ない仕事を続けることは、不信感につながりますし、ウェブ業界全体への不信感を生んでいます。ウェブサイトを作るなら、ウェブ中心消費行動を理解し、新しい環境の中で新しい戦略を立てることから始めましょう。私のセッションで少しでも感じることがあった方は、チャレンジしてみてください。
やるなら今です。いずれにしましても、ご興味のある方はWebCA通信にご登録ください。
https://www.facebook.com/groups/399499957563391/
A.まずはAB3C道場へ
まずは戦略を立案したら、こんなに変わるのか、という感覚を身につけるのが良いと思います。今回ご紹介した大西製粉さんの事例もそうですが、そば粉のサイトがsobayu.jpになりました。もし、戦略を立てよう、と思わずに、そのままリニューアルしていたら、まったく成果は出なかったでしょう。sobayu.jpもまだやってみないとわからないですが、少なくとも、「これならいけるかも」というイメージを抱いてサイト制作をします。これが大切です。
AB3C道場 開催スケジュール
https://www.webconsultant.or.jp/event/
直近ですと、ウェブ解析士協会さんとの共催のこちらが一番初心者向けです。
https://web-mining.doorkeeper.jp/events/101469
A.必要な人だけ取得してください。
WebCAで提供しているのは、教育とマッチングです。コンサルタントは最終的には個人の信頼が無いと仕事を受けることは難しいので、資格は重要ではないと考えています。しかし、ウェブサイトへの関心がまだ低い地方や、実績が少ない方にとっては、資格は興味を持ってもらうチャンスです。また、資格はWebCAの基準をクリアしているという証明ですので、WebCAからも仕事を紹介させていただく場合があります。
A.ウェブアドバイザーから、最低半年です。
いくつか資格がありますが、ウェブコンサルタントとしての資格のなかでもっとも初球のものはウェブアドバイザーです。ウェブアドバイザーは地域のお店など、競争の少ない環境での戦略立案をメインに担当する方をイメージしています。いつくかの講座の受講と、レポートの提出、ディスカッションに参加していただきます。講座への参加日数は合計で12日となっていますが、ご自身でのレポート作成期間は含まれておりません。また、各講座は半年に1回ずつ開催されておりますので、一周受講するには半年程度はかかります。
A.ゼネラリストか、スペシャリストか、というのが一番大きな違いだと思います。
ウェブ解析し協会さんとは交流がありますし、江尻さんからもたくさんの会員さんをご紹介いただいています。そのかかわりの中で、私が理解している限りでの意見ですが、ウェブ解析士協会は、その名の通り、ウェブサイトの解析を普及させるために作られた組織だと思います。特にGoogle analyticsの普及期に、解析の基本を多くの方に広めるために作られました。しかし、最近はベテラン会員さんを中心に、戦略や、ビジネスよりの講座などもやっておられるようです。
それに対してウェブコンサルタント協会は、分かりやすく言えば、ウェブに詳しい経営コンサルタントを育成すること、またクライアントとのマッチングを目的として組織された団体です。そのため、学ぶ範囲が非常に広く、ビジネス、ウェブ、デザインという広い範囲を扱っています。範囲が広いからこそ、基礎的なことはあまりやっておらず、実践的な体験の機会を提供するようにしています。
講義の内容も、実際の事例をもとにしたグループワークやディスカッションが中心です。経験を積むと、協会で受けた仕事のチームに参画し、OJTとして学ぶ機会もあります。資格試験もプレゼン形式で、いわゆるペーパーテストはありません。
A.カスタマージャーニーに沿って、どのような競合が見えてくるかを考えます。
商品によって、最初の認知が店舗だったり、ネットだったり、また比較はどんな媒体でどこまで比較するか、というのが違います。消費者の行動シナリオを読み解きながら、それぞれの段階で見えてくる比較対象を競合と考えます。実際にやってみると、競争の激しい業界だとたくさんの競合を比較して、価値目を探る必要があります。逆に、競争がそれほど激しくない業界、例えば、地域を限定したローカルショップ、つまりラーメン屋などの場合は、競合となるお店が限られますから、調査も簡単で済みますし、AB3Cを成立させることも難しくありません。
A.誰に、何を、を定義しています。
大西製粉さんの事例でもご紹介したように、分析によって、ターゲットも、メッセージも変わりますから、ウェブサイトのデザインもコンテンツも変わります。ペルソナを意識する方は多いですが、その前提にあるユーザーモデル、つまりターゲットユーザーの必要条件の方を十分に検討しましょう。
A.成果>費用>分析コスト
基本的には工数積み上げで計算します。たくさんやるほど戦略の信頼性は上がりますが、工数はかかります。その費用を回収するためには、達成しなければならない成果も大きくなくてはならないということです。そのため、「ここまでやればだいたい勝ち目はみえる!」というバランスを見極めなければなりません。その判断自体が経験に依存しますので、難しいのですが、見積もりの視点としては、高すぎず、安すぎず、というバランスを考える、ということです。
たとえば、今回の大西製粉さんの場合、期間としては2か月くらい、賞味2週間くらいでしょうか。費用は100万円でした。これを回収するためには、粗利率50%と考えると、200万円の売り上げが必要です。2000円/㎏のそば粉を1000個です。一年でペイさせるなら、毎月80個、居酒屋が毎月10個買ってくれるなら、8店舗顧客を開拓出来たらペイする計算です。
分析費用だけでお話しするとこの通りですが、実際はサイト制作もやって、500万円くらいかかるとするなら、その5倍です。今回の提案は、その数十倍の市場性はあると判断して、ご提案しています。
ちなみに、上場企業など、もともとの事業規模が大きい場合、どのくらいの収益インパクトを求めているかで、見込みがあっても市場が小さすぎて意味がないことが良くあります。このあたりは、大企業のイノベーションが難しい理由でもあります。
A.もちろん、活用はできますが、実行が難しいです。
私たちも15年くらい前は広告代理店や証券会社などの紹介で、大企業の支援をしていました。しかし、根本的な解決のために、戦略を提案しても、大企業はなかなか動きません。経営者自身がやりたくても、他の役員や、株主の承認が必要だからです。これを解決するために、最近はデザイン経営という考え方を取り入れよう、という流れがありますが、相当なリーダーシップのある経営者でなければ難しそうです。
そのため、当社のクライアントは、未上場企業で、社長ご本人が直接相談に来ること、決算書3期分を最初に用意してくれることが条件になっています。
A.お客様が求めているものを知る方法は、ユーザーインタビューやアンケート調査など、いくつかあります。
レビュー分析の良いところは、ユーザーの求めている価値を、簡単に手に入れられることです。レビューがたくさん手に入るなら、ぜひやってほしい分析方法ですが、他の古典的な方法もより深い理解が出来ますし、良い方法だと思います。ただ、コストの桁が変わってきますので、出来ればレビューを入手したいですね。
自社のレビューの限れば、レビューを書いてもらえるシステムもありますし、問い合わせ窓口への常日頃の問い合わせから、感想や要望を吸い上げていく方法などもあります。
以上です。ありがとうございました。
2019年、CSS Niteでは49回の関連イベントを通して123セッションが行われました。その中からベスト・セッション+αを選びました。